最高裁判所第三小法廷 昭和28年(オ)223号 判決 1954年6月29日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
論旨第一点は、食糧確保臨時措置法は原判決に接着する口頭弁論終結より以前に効力を失つていたにもかかわらず、原判決がこの法律によつて生じた上告人の義務を認めたことを非難するに帰する。しかし一旦適法に成立した義務はその後法律が廃止に帰したからとて消滅するものではないから、原審の判断は正当であつて、論旨は理由がない。その余の論旨はすべて「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同法にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)